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建物が越境している

建物が境界線を越えて隣の土地に越境している時は、隣地所有者はその所有権を侵害されているので、越境している部分について取り壊すよう請求することが出来ます。
もし建築計画の段階とか、工事中の段階で越境していることが明らかになった場合にはその部分の計画変更や取り壊しはできると思うのですが、建物が完成した後で、越境している部分が庇だったり、出窓だったりなど、建物のわずかな部分であるときなどは、建物の改築工事にかかる費用と、損害を受けている土地の面積とのバランスが良くないとの考えから、取り壊すのではなく、越境している部分の土地にかかわる損害請求ということになります。

場合によっては境界についての認識の違いから、建築主は越境していないと考えて建築したということも考えられるので、「どれだけ越境しているのか」を判断するためには、土地の境界を確定しなければなりません。
 
また越境されていることを承知していながらそれをいつまでも放置しておくと、その土地の所有権を放棄したものとみなされ、場合によっては建物が出来てから10年でその部分の所有権が建物の所有者に移転してしまう恐れがあります(民法162条)。越境していると分かったらすぐに法律的な手段を取らなくてはいけません。
 
境界があいまいであったり、認識違いなどで建物が越境している恐れがある時は土地家屋調査士や、法務局の筆界特定制度を利用することでまず境界を確定させる必要があります。所有権の侵害については地域の生活相談窓口や弁護士に相談すると対応してもらえるそうです。

関連法規  
◇民法 建築基準法など