引っ越した後しばらくたってから建築工事に明らかな瑕疵(かし)を見つけたとき |
物について、あるべき機能が備わっていなかったり、傷がついていて完全な状態ではないことを「瑕疵かし」と言います。 建物の引き渡しを受けた時は気がつかなかったけど、住んでみてしばらく経ってみたら、明らかな工事ミスがあった、などの場合には「瑕疵修補請求」と「損害賠償請求」の二通りが考えられます。 (建築工事は請負契約なので、売買と違って、瑕疵があったからと言って契約解除などをすることは出来ません。民法635条)
瑕疵修補請求とは、つまり「不完全なもの(瑕疵)を完全な状態に直してほしい」と請求することです。ただし、瑕疵があればすべてこの請求が出来るわけではなく、その瑕疵の程度に対して、修理費用が相当にかかってしまう場合などは、瑕疵の修補ではなく瑕疵によって受けた損害の賠償だけすればよいことになります(同634条1項)。 たとえば、壁に隠れている柱が一本足りなかった、などのときはまさしく重大な瑕疵なので、瑕疵を直してもらわないといけませんが、窓の位置が5センチずれていた、などのときは窓自体があったことには問題がなかったわけで、その5センチを直すために、足場を組んで外壁と内壁を壊して・・・などと、非常に多くの費用がかかってしまいます。 このような時には5センチずれていたことによる損害を賠償すればよい、ということになります。もちろん、5センチずれていたことが建物の存在を揺るがすほどの重大な問題であるとすれば窓の修理をすることになります。
また瑕疵の内容によっては瑕疵修補と損害賠償を両方請求することもできます(同634条2項)。
関連法規
◇民法など
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