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隣の家の火事によって延焼したときの損害賠償

隣の家が失火したことによって延焼を受けた場合、その損害を請求できるかどうかは出火の原因で分かれます。

単なる過失の場合は、損害賠償請求できません(失火責任法)。単なる過失とは、普通に誰もが行うような注意を払っていたのに火事を起こしてしまったときを言います。
 
外でたき火をしていて、周りにはバケツと消火器を置き、落ち葉を一通り燃やした後に水をかけて火が消えたことを確認したつもりで家に戻ったのだけれど、落ち葉のかたまりのずっと奥でくすぶっていた火の粉が舞ってきて火事になってしまった・・・などの時は、最低限やるべき注意を払っていたのに火事を起こしてしまったと言え、この場合は軽い過失として損害賠償を請求できないことがあります。
逆に、風の強い日に落ち葉を集めて燃やしていたら、火の勢いが強くなったので怖くなって逃げたら家に引火した・・・などのときは、火事にするつもりはなかったのは当然としても、放っておけば火事になることくらい誰でも想像できたのに、と言えるほどの大きなミスであり、無理やりたき火をした責任は重大です。
このような「重過失」のときには損害賠償を求めることができるようです。

どこまでが「軽過失」でどこからが「重過失」かは個々のケースによって判断が分かれます。
 
火災保険の適用の問題もあるので、万が一被害を受けたり、火を出してしまったりしたときは、なるべく細かく状況を書き留めておく必要があります。

関連法規  
◇失火責任法 民法